南房総での出会い

 2月某日 晴れ。
 前日の夜に「暖かいところにドライブに行きたいね」とだけ何となく決め、横須賀、伊豆なども考えたのだけど、2人の故郷もあり何度も訪れている南房総方面に向かうことにした。いつもなら行く場所や店をしっかりと決める妻もなぜか今回は何も決めず昔買った南房総特集の雑誌を持って出発。
 これが運命の出会いの旅になるとは僕も妻も予想していなかった。

 3連休の中日なので多少の渋滞は予想していたものの、アクアラインへ続く道が京急川崎大師駅あたりから混雑してノロノロ運転になり、アクアライン入口までたどり着くのに1時間。羽田空港に降りる飛行機が数分おきに大きく見えるので、最初の頃は娘も嬉しそうだったけど、だんだん飽きてつまらなそうにしている。アクアラインも40km/hでしか流れなかったのでトンネルを抜けて東京湾の真ん中の橋に出た時は「やった〜」という気分になった。
 広い海を眺めながらカモメとの並走を楽しんだのも束の間、橋の終点(木更津金田出口)は新しく出来たアウトレットパークに向かうクルマで大渋滞、仕方なく館山道へ向かおうとしたところ木更津JCTで大渋滞。何度も来ている木更津だけど、こんなに混んでいるのは始めてのことなのでちょっと戸惑ってしまった。

 これ以上ノロノロ運転していたらドライブ気分を楽しめなくなってしまうので、とにかく空いている道を行こうと方向を変えて木更津東ICから410号で南房総に向かうことにした。
 410号は木更津駅から亀山ダムに続く久留里線(地元ではパー線と呼ぶ。何で「パー」なのかは調べてみてください)に沿って続く道、のどかな風景を眺めながら、すいすいとドライブを楽しむことができた。ただ、困った事にあまりにものどか過ぎて昼ご飯を食べる店すら見当たらない・・・ 

さらに途中で亀山ダム方面に向かう465号に道を間違ってしまいクルマの中も険悪ムード。
このまま40km先の千倉か鴨川まで休憩も無いのは辛いなぁと思っていたら、妻が長狭街道(34号)に入った金束(こづか)という地区で小さなマーケットが開催されているのを発見してくれた。そこまでなら半分の20km、何も無い田舎道が、また自然豊かな楽しい道に見えてきた。

そして着いたのが"awanova"
実はここに着く少し前に、妻が「出店している"藁珈琲洞"って知り合いじゃない?」と言われていた。
なんと、同じ教室で珈琲の焙煎や抽出を学んだ友人が珈琲を振る舞っていたのだ。5年以上ぶりに会える友人にドキドキしながら周囲を見回す。
そして久しぶりの再開!


イクちゃん(こちらでは、しげちゃんと呼ばれていた)は、ちょっとびっくりした顔をした後、昔と変わらない優しい表情で結婚して子どもが出来た事を話し、手挽きのミルで柔らかい味わいの珈琲を飲ませてくれました。

そしてこのマーケットが新月の日に開催されるので休日に当たることは少なく、普段は地元の方が中心に訪れるものなのだということも聞いた。

さまざまな偶然が重なって出会えたことにお互い驚き、住む場所が離れても、連絡を取りあうことをしなくても会うべき人とは会えるんだね、と笑い合った。

その後は、夏みかんを買ったり、水仙を楽しんだりして金束地区でゆっくり過ごした。

金束地区で最後に入ったのが
"Sugar Salt Cafe"。

 妻も娘もこのカフェに何か惹かれるものを感じたらしく、娘は先頭を切って店に飛び込んで行った。
 少し遅れて僕が店に入った時には娘は小さな子どもを連れたお客さんのテーブルで一緒に座って仲良く遊び始め、妻もそのお母さん、お店の奥さんと仲良くなって談笑。僕もマスターと意気投合して話し込んでしまった。
 このお店のコンセプトは「オトナもコドモものんびりくつろげるカフェ」。写真を撮るのも忘れ、千倉や鴨川に行く事もやめ、このお店でゆっくりとした時間を過ごさせてもらいました。
 南房総の海の幸、オーナーの地元宮崎の食材を使った料理はとても美味しいし、盛りつけが可愛かったり、メニューの名前がちょっと面白かったりすて娘もご機嫌でした。

毎年夏にはコヅカアートフェスティバルというイベントも開かれている金束地区。
木更津から金谷、富浦、館山、千倉、鴨川と海岸沿いを楽しむことが多かった南房総ですが、内陸部にも素敵なスポットが出来てきているようです。次はキャンプ道具を持って訪れたいな。

※金束地区でお店を探す時はこれが便利です。
 コヅカアートフェスティバル オープンアトリエマップ

「賽の神どんど焼き」2013

 1月某日。「賽の神どんど焼き」は毎年楽しみにしているイベントのひとつで、自宅の土間にはどんど焼きでダンゴを焼くための三つ又の枝がずっと置いてある。
 僕が小学生の頃に住んでいた地域でもどんど焼きの行事はあったが、数人が囲む小さな焚き火サイズだったので、いつも遊んでいる公園に数メートルもある竹を使って組み上げられたやぐらを始めて見た時は驚いた。
 やぐらへの点火は、年男、年女の小学生が火きり棒を使って熾した火で行われる。そして竹、木、藁などで組んだ小屋(どんどや、やぐら)と一緒に正月飾りや書き初めを燃やして無病息災を祈り、三つ又の先に差したダンゴを焼き、御神酒を飲みながら楽しむ。

 実は上の写真は昨年のもの。今年のやぐらは開催日の数日前に深夜に原因不明の出火によって燃えてしまった。出火は夜23時くらいで我が家の玄関まで煙の臭いが届いた。公園では3〜4台の消防車が公園を取り囲み、消防士の方が現場検証を行っていた。
 さらに予定していたどんど焼き当日は大雪だったので今年は中止と思っていたのだが、数日後に小さいながらもやぐらは再生し、どんど焼きは行われた。

 娘は自分で黄色いダルマをどこに置くかかなり悩み、火がついてからも燃えて行くダルマをじっと固まって見つめていた。何を思っていたのか聞いても教えてもらえなかったが、特に思いのあるものが燃えていく様子を見ると黙ってしまうのは大人も子どもも同じなのかなぁと考えてしまった。

 この地区の人は皆、自宅にMy三つ又を持っているようだ。お餅、ダンゴの他にも、マシュマロ、コッペパンなどいろいろなものが三つ又の枝の先につけて焼かれていた。
 僕は焚き火で温まりながらビールと御神酒を飲む。雪が残る景色を見ながら寒い空気の中で焚き火にあたって身体の表面を温め、お酒で身体の内側を温めるのは気持ち良いものだ。